ミステリというなかれのエピソード、バスジャック事件を解説します。
この話は1巻_エピソード2__犯人が多すぎる(前編),2巻_エピソード2__犯人が多すぎる(後編)で紹介されています。
ネタバレを含むため、神経質な方は注意してお読みください。
Contents
ミステリというなかれ バスジャック事件を解説 あらすじ
バスジャックから物語は、思わぬ方向へ進んでいきます。
久能整が印象派展鑑賞に向かう所からスタートです。
プロローグ
印象派展の鑑賞のためバス乗り場に向かう整。
停留所にバスを見つけ慌てて乗車。
暫く走るが、乗客が外の景色が違う事に気付く。
突然1人の男が、ナイフを見せる。
バスジャックだ。
1人の女性が、メールで知らせる。
乗客全員のスマホやパソコンは没収された。
途中で犯人と運転手はバスを降り、何やら外で作業。
乗客
戻った犯人は乗客にフルネームと仕事、目的地、欠点を話せと要求。
・1人目の男性「淡路一平、コンビニのバイト、コンビニ、バイトが続かない」
・2人目の男性「坂本正雄、無職、なし、勇気がなかった」
・3人目の女性「柏めぐみ、主婦、クリニック、弱いこと」
・4人目の女性「露木リラ、事務員、居酒屋のバイト、見境がない」
・5人目の男性「奈良崎幸仁、無職、ボランティア、頑強さ」
・6人目の男性「小林大輔、無職、祖父の見舞い、コミュ障」
・7人目の男性「熊田翔、大学院生、友達の家、執念深い」
・8人目の男性「伊能整、大学生、大隣美術館、カレーに弱い」
ここで整は、バスジャック犯に同じ質問をすると怒りの回答。
バスジャック犯「犬堂オトヤ、バスジャック、切れやすい」
乗客たちは、犯人の目的を推測する。
身代金?
熊田は整に興味がある様子。
トイレ休憩
オトヤは、トイレ休憩をとる。
オトヤ「1人3分以内、戻らない場合残りの乗客は皆殺し」
「逃げた人間のせいで、皆が殺される」
整「逃げた人間のせいではなくあなたのせいだ」
「あなたのせいで発生した問題、責任転嫁している」
整は、トイレ休憩でバスを下車。
バスの外装が路線バスから観光バスに変化している事に気付く。
オトヤと運転手が途中で降りて何かしていたのはこのカムフラージュのためだ。
整は、池本刑事からもらった電話番号のメモに気付く。
メモを見つけた人が、池本に連絡するように書きメモをトイレの横に置く。
女性2人でトイレに行く際、露木が逃げようと柏を誘う。
柏はこれを拒否。
トイレ休憩を終え、再びバスは動き出す。
整のメモは、乗客の誰かに破られて風に舞っていた。
坂本の正体
オトヤ「人を殺したことがある奴はいるか」
奈良崎「あるわけない、人を殺したりするはずがない」
オトヤ「どうして人を殺してはいけない?」
露木「殺されたくないから、人にされて嫌な事は人にしてはダメ」
柏「いけないと思っている」
熊田「残された人や家族が悲しむから」
淡路「捕まる、罪になるから」
バスジャック犯は、次々と屁理屈を言って納得しない。
整「殺していけないことはない、罰則はあるが法律で決まっていない」
「秩序のある平和で安定した社会を作るため、便宜上そうなっている」
「戦争が起きればOKになる、たくさん殺せば誉められる」
「そういう所に行けばいい」
「水泳大会で棒高跳びをしているようなもの」
「あなたが殺されないのは、秩序を重んじる人たちがここにいるから」
「もしそういう所に行きたくなく、自分は殺したいが殺されたくない場合」
「それは劣等感、コンプレックスの裏返し」
「どうして人を殺してはいけないというレベルの話ではない」
饒舌な整の言葉に怒り、興奮したオトヤはナイフで整に切りつける。
熊田が整を助け、坂本がオトヤを殴りつける。
オトヤ「すまん、兄貴」
坂本は、バスジャック犯オトヤの兄で仲間だった。
熊田「ずっと観察していて、どこまで言えば犯人が怒るか計算した?」
整「そんな事はない、あなたなんじゃない」
熊田と整は、意気投合したようだ。
坂本(犬堂?)は次に「一番嫌だと思う死に方」を質問。
・奈良崎「棺桶の中で、焼かれている時に目を覚ます」
・小林「病死」
・露木「生き埋め」
・柏「孤独死」
・熊田「生き埋め」
・淡路「溺死」
・整「事故や殺されたのに自殺と片付けられる」
坂本は、何が目的で質問しているのか。
小動物が現れ、バスは急ブレーキを踏む。
バスジャックの目的
許可が下りカーテンを開けると、バスは山の中を進んでいた。
整は、オトヤに3時までに終わるかと聞いた時、終わるわけないと即答した事を疑問に思っていた。
坂本「俺の名前は犬堂ガロ、オトヤは弟」
整「交渉相手もなく、目的はバスの乗客ですよね」
ガロは問いに答えず、バスジャック終了を告げる。
到着したのは、犬堂家の大きな屋敷。
捜査本部では連続殺人事件を調査中。
被害者は4名とも生き埋めによる窒息死。
そして自宅近くに同じ路線バスが存在していた。
犬堂家に着いた9人。
犬堂家には数十匹の獰猛な犬が放し飼いにされていた。
これでは逃げる事は、難しいだろう。
玄関に入り2階に上がると、リビングに大きな女性の自画像。
それを見て、動揺する淡路と柏。
壁にはガロのネームが入った絵が数枚、飾られていた。
犬堂ガロ「ここでくつろいでいて、食事もご自由に」
整は、犬堂達が皆に何かを考えさせ思考パターンを探っているようだと感じる。
トロッコ問題と犯し罪
ガロは質問する。
暴走トロッコを切替レバーを操作して、5人か1人のどちらかを助ける「トロッコ問題」
それぞれが答える。
・切り替えず5人を犠牲:柏、露木、小林
・切り替えて1人を犠牲:奈良崎
・状況によって切替:淡路、整、煙草森
次にオトヤが「自分自身が犯した最も重い罪」を聞く。
・熊田:子供の頃、大事な友達に「死んじゃえ」と言いい本当に死んでしまった。
・淡路:駄菓子屋で万引き、いじめを受けていた。
・露木:消防車が見たくて嘘の119番通報をしたが、その時本当の火事があり消防車が遅れた。
・奈良崎:仕事のせいで部下が自殺、妻と子供は家を出た。
・煙草森:子供の頃、飼っていた金魚が死んでそれを隠した。
整は、人生相談員のようにそれぞれの悩みに答える。
休憩時、整は別室で池本刑事に電話し助けを求める。
池本の話から、連続殺人の第一犠牲者が犬堂愛珠と分かる。
整「真犯人が多分ここにいるので、少人数でこっそり来てください」
リビングに戻ると、柏が逃げようとした露木達を止めていた。
柏「まだ警察も報道もされていないから逃げてはダメ、私は家族に心配してもらいたい」
「私の罪は結婚前だからと言われ子供を堕した事」
「体外受精は、不自然だから離婚しろ」
整「気にせず、思うようにしたらいい」
「人がする事は全て自然の範疇、ミツバチがハチミツを作るのと同じ」
整の言葉で、柏は救われた。
そこへ警察が到着。
熊田の正体
整は、バスの中でオトヤがガロに背を向けたのが不自然だと感じた。
やはり2人は仲間だった。
そしてリビングでガロが背中を向けた人物がいた。
ガロは右利き、サイン入りの絵は左利きが描いた癖がある。
整「あなたが本当の犬堂ガロですね」
話しかけた人物は、熊田だった。
熊田翔が犬堂ガロ、犬堂ガロと名乗った男は犬堂ハヤだった。
そして大きな自画像の女性は連続殺人事件第一犠牲者の犬堂愛珠、ガロの姉だった。
真犯人
ガロは行方不明だった愛珠を探偵に調査依頼。
最後にバスで一緒に乗っていたのが淡路・露木・小林・柏・奈良崎の5名。
煙草森が終点で降りた後、5人と一緒に歩いて行ったと証言。
ガロは5人の中に犯人がいると判断し、バスジャックで拘束した。
ガロ「君が犯人?」
指差したのは淡路。
・淡路「ごめんなさい、でも財布を盗んだだけで殺していない」
続けて、柏・露木・奈良崎・小林が答える。
・柏「私もごめんなさい、具合悪そうに洋服を掴まれたが振りほどいて降りてしまった」
・露木「気にはなっていたけど声はかけなかった」
・奈良崎「全く覚えてない」
・小林「見覚えない人だった」
誰かが嘘をついているのだろうか。
整は、突然煙草森に話しかける。
整「床のゴミや食べかすを癖でソファーの下に押し込んだ」
「リビングの武器も絨毯の下に隠した」
「人を殺したんじゃなく片付けたんですね」
煙草森「はい、そうです」
「終点で車内の確認を忘れ酒を少し飲んでしまった」
「車庫に帰る途中、急ブレーキを踏むと後ろで物音がした」
「見てみると愛珠さんですでに死んでいた」
「報告怠慢で酒も飲んでいたため、怖くなった」
「土の中に埋めようとすると生き返ったので押さえつけた」
「その時の感触が忘れられず、その後3人も殺してしまった」
「乗客が1人の時急ブレーキで昏倒させ、体重が軽そうな人間を選んだ」
真犯人は煙草森だった。
ハヤがガロを名乗ったのは、愛珠にガロを守るように言われたためだった。
ガロが人質になったのは確実に犯人でない整を守るためだった。
トイレ休憩で整のメモを破り捨てたのも、ガロだった。
ガロ「煙草森の言う事を信じ、バスを降りた後の続きがあると思い込んでしまった」
「何故、あのバスに乗っていたんだろう」
整「仲のいい兄弟だったんだね」
ガロ「とんでもない、最悪の暴君」
「人を支配したがる女、何でも手に入れようとする女」
「でも愛していた」
友達に言った「死んじゃえばいい」は愛珠に言った言葉だった。
ガロの右手に付けた石「エンジェライト」は許しを願う・家族を愛する石だった。
エピローグ
数日後、整の自宅に犬堂ガロから冷凍便が届く。
開けると時計とエンジェライトを付けた人間の右手だった。
警察に調べてもらうと右手は煙草森の物で、時計はガロの物だった。
警察で青砥刑事に事情を聴く。
煙草森の移送中に車ごとさらわれ、従妹2人とも行方不明。
右手以外は、釣り堀で発見され魚の餌に。
煙草森の裁判が精神鑑定に持ち込まれそうになり動いたのではないかと。
エンジェライトはもういらない…..
ミステリと言うなかれ バスジャックエピソードのTVドラマとの比較
1.バスの乗客人数
原作:整、ガロ、オトヤ、小林、露木、柏、奈良崎、坂本、煙草森の9人
ドラマ:整、ガロ、オトヤ、露木、柏、奈良崎、坂本、煙草森の8人
2.原作に描かれていない内容
・風呂光刑事の詳細な聞き込み
3.ドラマでカットされた内容
・バス内での「一番嫌だと思う死に方」
・犬堂家リビングでの「トロッコ問題」
4.警察がバスジャック事件に整が巻き込まれた事に気付いた理由
原作:整が、犬堂家の電話から池本に連絡
ドラマ:風呂光が自転車接触事故現場のトイレ付近でメモの断片を発見
5.漂流郵便局とジュート
原作:整が広島に行き、いくつかの事件を経過した後で登場。
ドラマ:3話の最後で、犬堂一行がたどり着く。
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ミステリと言うなかれ バスジャックエピソードのまとめ
今回は、ミステリというなかれのバスジャック事件を紹介しました。
バスジャックと連続殺人事件の繋がりが徐々に判明して行って驚きの結末を迎えます。
失踪した犬堂兄弟はどこに行ったのでしょうか。
どこでまた再登場するのか注目です。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。