ドラマ『マイフィクション』あらすじ全話ストーリー完全ガイド

夜の住宅街を見つめる男性の後ろ姿。街灯が静かに照らす「森沼ネクスタウン」の標識が映り込んでいる ドラマあらすじ

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玉森裕太主演のドラマ『マイ・フィクション』は、2026年7月5日からテレビ朝日系「日10ドラマ」枠で放送されたサスペンスラブストーリー。

事故で目を覚ましたら妻にも職場にも「存在を忘れられていた」という衝撃の設定から始まり、記憶改ざん、別人格、作られた夫婦、そして愛する人のために人生そのものを書き換えるという重いテーマへ展開していった。

本記事では第1話〜最終回までのあらすじを詳しく整理している。最終回までのネタバレを含みます。まだ視聴していない方はご注意ください。



『マイ・フィクション』基本情報まとめ|キャストと放送スケジュール

まず、ドラマの全体像をおさらいしておこう。

放送局・時間:テレビ朝日系列、毎週日曜22:15〜23:09(朝日放送テレビ制作)

主演・主要キャストは次の通り。

  • 伊川正樹(二宮祐介):玉森裕太
  • 二宮由梨:森川葵
  • 伊川真弓(石野奈々美):宮澤エマ
  • 津村大輔:野村周平
  • 多田義孝:ジャンボたかお(レインボー)
  • 香坂睦美:国仲涼子
  • 藤谷治:佐戸井けん太
  • 室谷隆敏:吉村界人(第4話よりサプライズ出演)

脚本は山岡潤平。主題歌はKis-My-Ft2の「My Affection」、オープニング曲はredrawの「Karma」。

キャラクターの構造が面白くて、主人公の玉森裕太は実は「二役」を演じている。「伊川正樹」として生きている主人公が、実は亡くなったはずの警察官「二宮祐介」だった——という二重の存在を一人で担っているのだ。こういう設定、観始めると止まらないやつ。

宮澤エマ演じる真弓もまた「別の顔」を持っており、主要キャラのほぼ全員が「本名ではない存在」として動いているという、このドラマ特有の多重構造が最大の魅力だ。



第1話あらすじ|平和すぎる町で”存在を消された”男

放送日:2026年7月5日/サブタイトル「僕を忘れた妻、僕になりすます男」

第1話の核心:事故から1週間後に目覚めた伊川正樹が帰宅すると、妻も職場も彼の存在をまるごと忘れており、別人が「伊川正樹」として家に住んでいるという衝撃の事態が明かされる。

舞台は「事件件数ゼロ・連続1100日達成」を誇る、異様なほど平和な町・森沼ネクスタウン。

主人公の伊川正樹(玉森裕太)は、老人ホーム「はるなぎ園」で介護士として働く33歳の男性。結婚6年目の妻・真弓(宮澤エマ)と、愛鳥の文鳥・ピョートルと暮らす、何の変哲もない幸せな日常を送っている。

そんなある日、「はるなぎ園」の定期健診を受けた伊川は帰り道、見知らぬ男・津村大輔(野村周平)と目が合う。激しい頭痛に襲われた伊川は逃げようとするが、よろめいて川に転落し意識を失う。

1週間後に病院で目を覚ました伊川が自宅へ戻ると——妻の真弓は彼を夫と認識せず、全く別の人物が「伊川正樹」として家に住んでいた。職場の同僚も、誰もが自分の存在を忘れている。

※画像はAIによるイメージ

第1話は、この受け入れがたい現実に放り込まれた伊川の混乱を、不穏な空気満点で描いている。「事件ゼロの平和な町」という設定が、主人公の孤立と対照的に機能していて、初回から画面の向こう側に底知れない不安感が漂う演出が秀逸だった。

「完璧に平和な町」というのは、現実にはまず存在しない。そのリアリティのなさ自体が、この町の異常さを示唆するファーストシーンとして機能している点が、脚本的にも演出的にも巧みだと感じた。




第2話あらすじ|”瓜二つの夫”という衝撃の新事実

放送日:2026年7月12日/サブタイトル「僕は誰?ちぐはぐの現実」

第2話の核心:自分の存在を証明しようとした伊川が行き場を失い、入院中に知り合った二宮由梨を頼ったところ、由梨の亡夫の遺影が伊川と「瓜二つ」だったことが判明する。

事故から1週間後、帰宅した伊川を待ち受けていたのは「見知らぬ男を怯えて見ている妻・真弓」の姿。

伊川は結婚記念日のことや、愛鳥・ピョートルのことを話して存在を証明しようとする。しかし真弓は「ピョートルはもう死んだ、庭に埋めた」と言い張る。庭を掘り返しても亡骸はなく、ピョートルは鳥籠の中でピンピンと生きていた。

記憶が書き換えられているのか——。混乱した伊川は交番へ駆け込むが、そこでも助けを得られない。

行き場を失った伊川が頼ったのは、入院中に偶然知り合った二宮由梨(森川葵)。由梨のアパートに匿ってもらうが、そこで新たな衝撃が訪れる。

2年前に事故死したという由梨の夫の遺影が、伊川自身と「瓜二つ」だったのだ。

2人は翌日、伊川の存在を証明できる人物を探しに出発。その様子を、刑務所から出所したばかりの津村大輔が遠くから監視していた。

「遺影」という静かな小道具が、ここで物語の最大の爆弾として機能する——脚本の山岡潤平らしい、感情への刺し方だ。由梨にとっては「死んだはずの夫に似た男が目の前にいる」という二重の衝撃であり、伊川にとっては「自分が別人かもしれない」という恐怖の始まりでもある。



第3話あらすじ|巻き戻される記憶、消える人間

放送日:2026年7月19日/サブタイトル「亡き夫と瓜二つの男」

第3話の核心:認知症の入所者が持っていた写真で伊川の記憶が正しかったと証明されるが、日常が戻った直後に今度は由梨の記憶ごと伊川の頭から消えるという新たな謎が提示される。

「はるなぎ園」の認知症入所者・塚本華枝(髙栁葉子)からもらった小銭入れの中に、真弓との2ショット写真が入っていた。

「やっぱり自分の記憶は正しかった」——そう確信した伊川は安堵の涙を流す。

写真を手に真弓のもとを訪ね、翌日には夫婦生活を取り戻す伊川。町では「事件件数ゼロ・連続1111日達成」が発表され、表面上は何もかもが元通りになったかのように見えた。

しかし——ご近所さんとの会話が事故前と「一言一句違わない」という奇妙な既視感。まるで時間が巻き戻されたような日常を、伊川は何の疑問も持たず過ごしている。

そこへ由梨が心配して訪ねてくると、伊川は由梨の存在を完全に忘れていた。昨日まで一緒に行動していた記憶すらない。

脳科学者の伯父・藤谷治(佐戸井けん太)に相談しても原因は分からず途方に暮れる由梨の前に、翌朝、津村大輔が「近所に引っ越してきた」と言って現れる。

「記憶の書き換え」というSFじみた現象が、この話から単なるミステリーの謎ではなく「誰かが意図的に操作しているかもしれない」という恐怖へと変質し始める。その切り替わりの演出が、個人的にはこのドラマで最も背筋が冷えた瞬間だった。

1111という「キリのよすぎる数字」の演出も見逃せない。偶然そうなった数字なのか、誰かが意図的に達成タイミングを操作したのか——この町の「完璧すぎる平和」への疑念が、じわりと積み上がってくる瞬間だ。



第4話あらすじ|DNA鑑定が暴いた”二重の人生”

放送日:2026年7月26日/サブタイトル「刑務所にいるはずの人間」

第4話の核心:津村のDNA鑑定により「伊川正樹」が2年前に死亡した「二宮祐介」本人であることが判明し、さらに「津村に殺されたはず」の人物・室谷隆敏(吉村界人)が生存していたことが明らかになる。

※画像はAIによるイメージ

津村が密かに行ったDNA鑑定により、「伊川正樹」が実は2年前に死亡した警察官・二宮祐介本人であることが判明する。

由梨の亡き夫と、今まさに「伊川正樹」として生きている男が、同一人物——。その衝撃の事実に言葉を失う由梨。

津村は由梨に「何もせず、いつも通りでいてください」と伝えるが、由梨は無視して伊川に会いに行く。しかし、由梨と過ごした記憶を持たない伊川は「あなたは私の夫です」と訴える由梨を怖がり、逃げるように立ち去る。その一部始終を「はるなぎ園」の多田義孝(ジャンボたかお)と向井理恵(結城萌)が陰から監視していた。

この回では、津村自身の過去も明かされる。実は津村は「7年前に殺人を犯し、服役していた元刑事」だった。

さらに、吉村界人がサプライズ出演。「7年前に津村に殺された」とされていた室谷隆敏という人物が、ある施設で実は生存していることが明らかになる。「すべての謎につながるキーマン」として登場した室谷の存在が、今後の展開に大きく影響しそうだ。

吉村界人のサプライズ登場は、単なる驚かせ演出ではなく「津村の”罪”そのものが誰かに仕組まれたものだった」という可能性を投げかける。謎が解けるたびに新しい謎が生まれる構造が、このドラマの最大の快楽だ。



第5話あらすじ|真弓の正体は石野奈々美、作られた夫婦の真実

放送日:2026年8月2日/サブタイトル「作られた夫婦、嘘の思い出」

第5話の核心:伊川真弓の正体が、7年前に夫殺しの罪で服役していた石野奈々美だと判明する。さらに、正樹と真弓の夫婦生活が自然に積み重ねられたものではなく、何者かによって作られた関係だったことが見えてくる。

第5話では、宮澤エマ演じる「伊川真弓」の本当の名前が石野奈々美であることが明らかになる。

奈々美は、7年前に夫を殺害した罪で服役していたはずの人物。それにもかかわらず、現在は「伊川真弓」として森沼ネクスタウンで正樹の妻として暮らしていた。

ここでまず引っかかるのは、奈々美が自分の意思で真弓として生きていたのか、それとも記憶や人格を書き換えられて別の人生を与えられていたのかという点だ。

奈々美は伊川家から持ち出した包丁を手に、亡くなった夫の実家へ向かう。一方、正樹・津村・由梨は、真弓の行方を追う須藤夫妻の車を追跡し、奈々美の娘が預けられている児童養護施設へたどり着く。

施設に現れた奈々美は須藤夫妻に襲われるが、正樹たちによって救出される。そして奈々美は、自分が「伊川真弓」として生きてきた理由を語り始める。

第5話の怖さは、真弓が別人だったことそのものより、正樹と真弓の穏やかな夫婦生活まで「誰かに用意された日常」だった可能性が出てきた点にある。

思い出が嘘だったとしても、その中で感じた感情まで全部嘘だったのか。この回から『マイ・フィクション』は、記憶の謎だけでなく「作られた人生の中に本物の感情はあるのか」というテーマへ大きく踏み込んでいく。


第6話あらすじ|ペルソナ・シフト・プログラムと正樹の正体

第6話の核心:森沼ネクスタウンの裏側に、犯罪者の記憶や人格を再構成する「ペルソナ・シフト・プログラム」が存在していた可能性が浮上する。さらに、正樹自身が計画の中心側にいた人物だった疑いが強まる。

第6話では、正樹たちが7年前に奈々美の事件を担当した刑事・香坂睦美を調べる。

すると、香坂が担当し無期懲役判決を受けた受刑者8人も、獄中から姿を消していたことが判明する。その中には、津村が殺害したはずの室谷隆敏も含まれていた。

ここで、津村の「殺人犯」という過去そのものにも疑いが生まれる。津村は本当に室谷を殺したのか。それとも、そう思い込まされていただけなのか。

さらに、香坂はかつて、警察上層部からニューロヴァイス社の記憶移植技術を使う「ペルソナ・シフト・プログラム」の存在を知らされていた。

この計画は、犯罪者を別人格として社会復帰させるためのものだったと考えられる。

表向きには更生や社会復帰のための仕組みに見えるが、実際には人の記憶や人格を操作し、別人として生き直させる危険な実験だった可能性が高い。

森沼ネクスタウンが「事件ゼロの平和な町」として成立していたのも、住民が善良だったからではなく、記憶や人格が管理されていたからなのかもしれない。

そして第6話終盤では、正樹が実はすでにすべての記憶を取り戻していたことが示される。

さらに、正樹の正体が二宮祐介であり、ニューロヴァイス社側の研究員だった可能性も浮上する。

ここで物語の見え方は大きく反転する。正樹は、自分の人生を奪われた被害者ではなく、計画の中心側にいた人物だったのではないか。

津村に薬を注射し、研究所へ監禁した正樹の行動は、彼が単に真相を追っていたのではなく、何かをコントロールしようとしていたことを示している。

この回で『マイ・フィクション』は、「記憶を奪われた男の物語」から、「記憶を作った側の男が、自分のフィクションに戻っていく物語」へと変わっていく。


第7話あらすじ|愛のため、重ねた嘘

放送日:2026年8月16日/サブタイトル「愛のため、重ねた嘘」

第7話の核心:記憶を取り戻した二宮祐介が由梨と賢人のもとへ戻るが、彼の説明は真実ではなかった。由梨を守るために重ねた嘘が、津村や奈々美、香坂、室谷の事件と再びつながっていく。

第7話では、記憶を取り戻した二宮祐介が、由梨と賢人の待つ家へ戻ってくる。

二宮は由梨に対し、犯罪者の記憶を改ざんして別人として生まれ変わらせる「ペルソナ・シフト・プログラム」は廃止されたと説明する。

さらに、津村大輔は殺人罪で逮捕され、石野奈々美は娘と安全な場所で暮らしていると伝え、「これで全部、元通りだ」と由梨を安心させようとする。

しかし、ここで少し引っかかるのは、二宮の言葉があまりにも都合よく整いすぎていることだ。

すべてが片づいたように見せながら、本当は由梨に真実を見せないための説明だったのではないか。

実際、二宮の説明は嘘だった。

津村と奈々美は解放されたのではなく、ニューロヴァイスの施設に監禁されていた。

二宮は由梨と賢人を守るため、津村と奈々美の存在を香坂睦美側に差し出す取引をしていたのだ。

ここが第7話の苦いところだと思う。

二宮は由梨を守ろうとしている。けれど、そのために由梨へ真実を隠し、別の誰かを犠牲にしている。

「愛のため」という言葉がついていても、そこにはすでに支配や選別のような危うさが混ざっている。

香坂からの新たな依頼

翌日、二宮は由梨に隠れて香坂と接触する。

二宮は、津村と奈々美を引き渡す代わりに、由梨と賢人には近づかないよう香坂に求めていた。

しかし香坂は、その取引の対価として、二宮に新たな協力を要求する。

その内容は、8年前に室谷隆敏による無差別殺傷事件に巻き込まれた、香坂の娘・ゆず季に関するものだった。

この展開で、香坂もまた単なる計画の管理側ではなく、自分の家族の過去に縛られている人物だと分かってくる。

森沼ネクスタウンの怖さは、登場人物が全員「誰かを守るため」と言いながら、別の誰かの人生を動かしてしまうところにある。

津村と奈々美が施設から脱出

一方、監禁されていた津村と奈々美は、施設から脱出することに成功する。

津村は由梨のもとへ向かい、二宮から離れた方がいいと忠告する。

ここで津村は、由梨を取り戻したい男というより、二宮の嘘から由梨を遠ざけようとする人物として動き始める。

ただ、津村にも過去の罪や秘密があるため、由梨から見れば、誰を信じればいいのか分からない状況になっていく。

その直後、室谷から由梨に連絡が入る。

室谷は、賢人を誘拐したと告げる。

二宮、由梨、津村は、室谷と賢人がいる場所へ向かう。

由梨が賢人を解放するよう求めると、室谷は賢人を放す。

しかし、室谷が投げた鉄パイプによって棚が倒れ、賢人が下敷きになる危険な事態が発生する。

賢人が狙われたことで、二宮の「由梨と賢人を守るため」という理屈も、さらに揺らいでいく。

守るために嘘をついたはずなのに、その嘘が結果的に由梨たちを危険へ近づけているからだ。

由梨と津村は7年前に結婚する予定だった

賢人をめぐる騒動の中で、津村は自分の過去を告白する。

津村は、自分のせいで由梨と賢人が狙われたと語る。

由梨が理由を尋ねると、津村は7年前に由梨と結婚する予定だったと明かす。

これは、最終回へ向けて最も大きな真実のひとつだ。

由梨には、津村と過ごした記憶がない。

つまり、由梨の記憶から津村との関係が消されている可能性が一気に強まったことになる。

ここで怖いのは、由梨が誰を愛していたのかという過去だけではない。

由梨が自分で選んだはずの人生そのものが、誰かによって書き換えられていた可能性があることだ。

二宮が由梨を守るために嘘を重ねていたとしても、その嘘は由梨の人生を奪うものでもあった。

第7話は、最終回で明かされる由梨の記憶改ざんの真相へ向けた、かなり重要な橋渡し回だったと思う。

第7話のポイント

  • 二宮は記憶を取り戻した後も、由梨に嘘をついていた
  • ペルソナ・シフト・プログラムは、表向きは廃止されたと説明された
  • 実際には、津村と奈々美は施設に監禁されていた
  • 二宮は由梨と賢人を守るため、津村と奈々美を香坂に差し出そうとしていた
  • 香坂の娘・ゆず季と、8年前の室谷の事件が新たな謎として浮上した
  • 津村と奈々美が施設から脱出した
  • 室谷が賢人を誘拐した
  • 由梨と津村が7年前に結婚する予定だったことが判明した

第7話では、二宮が由梨を守ろうとしている一方で、由梨に重大な真実を隠していることが明らかになった。

最終回では、由梨の記憶がなぜ改ざんされたのか、二宮がどこまで関与していたのか、そして由梨が二宮と津村のどちらを信じるのかが焦点になる。

最終回あらすじ|由梨の記憶改ざんと祐介の決断

最終回の核心:二宮祐介が由梨の記憶を改ざんした理由が明かされ、由梨は祐介ではなく津村と生きる道を選ぶ。祐介は最後に、自分の存在を彼らの記憶から消す決断をする。

最終回では、二宮祐介が由梨と津村大輔に、7年前に何があったのかを打ち明ける。

由梨と津村は当時、婚約関係にあった。しかし津村は殺人事件に関わることになり、由梨の人生も大きく壊れていく。

祐介は、由梨を「殺人犯の妻」にしないため、彼女の記憶から津村との関係を消していた。

つまり、由梨が津村との記憶を失い、祐介と夫婦になっていた理由は、祐介による記憶改ざんだった。

祐介の目的は、由梨を自分だけのものにしたかったからではなく、彼女を津村の犯罪と残酷な現実から遠ざけるためだったと語られる。

ただし、その行為は由梨を守るものだったとしても、同時に由梨の人生と意思を奪うものでもあった。

ここが最終回で一番苦いところだ。祐介の行動は完全な悪意ではない。けれど、愛情を理由に相手の記憶を消し、人生を作り替えることは、やはり支配に近い。

真実を知った由梨は、祐介への愛情を失い、次第に憎しみを抱くようになる。

最終的に、由梨は祐介ではなく、津村とともに生きる道を選ぶ。

祐介は由梨を取り戻そうとはしない。由梨・津村・賢人が幸せに暮らせるよう、自分の存在を彼らの記憶から消す決断をする。

後日、祐介は公園で、由梨・津村・賢人の3人が家族のように楽しそうに過ごす姿を見つめる。

3人は祐介とすれ違っても、誰も彼のことを覚えていない。

しかし賢人だけは一瞬振り返り、祐介と以前よく歌っていた歌を口ずさむ。

祐介はその歌に反応して振り返るが、3人に近づくことはなく、その場を立ち去る。

記憶としては消えても、感情や時間の名残までは完全には消えない。賢人の歌は、祐介が確かに誰かの人生に存在していた証のように見える。

祐介の愛は、最初は「由梨を守りたい」という気持ちと「失いたくない」という執着が混ざったものだった。

けれど最後には、由梨が自分ではない誰かと幸せになることを受け入れる。相手の記憶に残ることではなく、相手の幸せを残すことを選んだのだ。

このラストは、かなり切なく、同時に『マイ・フィクション』というタイトルを静かに回収する結末だった。


キャラクター相関図で整理|複雑な人物関係を解説

このドラマが面白い理由の一つは、登場人物それぞれが「別の顔・別の過去」を持っていること。最終回まで見ると、人物関係はさらに複雑に見えてくる。

伊川正樹(二宮祐介)
「伊川正樹」として生きていた人物の正体は、二宮由梨の亡き夫・二宮祐介。自ら記憶を書き換え、別人として生きていた。由梨を守るために記憶改ざんを行ったが、それは同時に由梨の人生を奪う行為でもあった。

二宮由梨
祐介の妻であり、かつて津村大輔と婚約していた人物。しかし祐介によって津村との記憶を消されていた。最終的には祐介ではなく、津村とともに生きる道を選ぶ。

伊川真弓(石野奈々美)
「伊川真弓」として暮らしていたが、本当の名前は石野奈々美。7年前に夫殺しの罪で服役していた人物で、真弓という別の人生を与えられていた。娘のゆず季をめぐる問題も最終回で一区切りを迎える。

津村大輔
元刑事で、7年前の事件に深く関わる人物。由梨とはかつて婚約関係にあった。自分の罪や過去を背負いながら、最終的には由梨と生きる道を選ぶ。

多田義孝
「伊川正樹」として真弓と暮らしていた謎の男。「はるなぎ園」の同僚でもあり、森沼ネクスタウンの異常な仕組みに関わる存在として描かれた。

香坂睦美
7年前の事件を担当した刑事。ニューロヴァイス社の記憶移植技術や、ペルソナ・シフト・プログラムの存在を知る重要人物。

室谷隆敏
津村に殺されたはずだった人物。しかし実際には生存しており、津村の罪そのものが誰かに作られた可能性を示すキーマンだった。

登場人物の多くが「本名ではない自分」や「作られた記憶」を抱えている。だからこそ、このドラマは単なるサスペンスではなく、誰の人生が本物なのかを問う物語として成立していた。



考察|『マイ・フィクション』が描いた“作られた人生”の怖さ

『マイ・フィクション』が最後まで問い続けたのは、「誰が嘘をついているか」ではなく、「誰の現実が本物なのか」だったと思う。

正樹にとっての現実、由梨にとっての現実、奈々美にとっての現実、津村にとっての現実。

それぞれが持っている記憶や人生が、他人の手によって書き換えられている。ここが、このドラマの一番不気味なところだった。

祐介は由梨を守るために記憶を改ざんした。

しかし、守るという言葉の裏で、由梨が自分で悲しみ、自分で選ぶ権利まで奪っていた。

真弓として生きていた奈々美も、作られた人生の中で感情を持っていた。

記憶が偽物なら、その中で生まれた愛情も偽物なのか。

この問いが、最終回までずっと残り続ける。

ラストで祐介が自分の存在を消したことは、由梨を支配する愛から、由梨を手放す愛へ変わったことを示していた。

覚えてもらえなくても、相手が幸せならそれでいい。

そう思えるところまでたどり着いた祐介は、ようやく自分が作ったフィクションから降りたのかもしれない。

『マイ・フィクション』の「フィクション」は、単なる嘘ではない。

登場人物たちが自分を守るため、誰かを守るため、あるいは現実から逃げるために作り上げた人生そのものだった。

そして最終回では、そのフィクションを否定するのではなく、そこから抜け出して自分の人生を選び直すことが描かれた。


まとめ|『マイ・フィクション』は“忘れられる愛”まで描いたドラマ

ドラマ『マイ・フィクション』は、「妻に忘れられた夫」という入口から始まり、二重のアイデンティティ、殺人犯の潜伏、DNA鑑定、記憶移植、そして由梨の記憶改ざんへと展開していった。

伊川正樹の正体は、二宮由梨の亡き夫・二宮祐介だった。

祐介は、由梨を「殺人犯の妻」にしないため、津村との記憶を消し、自分との夫婦生活を作っていた。

ただし、それは由梨を守るためであったとしても、本人の意思や人生を奪う行為でもあった。

最終的に由梨は、祐介ではなく津村とともに生きる道を選ぶ。

そして祐介は、由梨・津村・賢人が幸せに暮らせるよう、自分の存在を彼らの記憶から消す決断をした。

ラストで賢人だけが歌を口ずさんだ場面は、記憶としては消えても、祐介と過ごした時間の名残が完全には消えていないことを示していたように感じる。

『マイ・フィクション』というタイトルは、祐介が作った偽りの人生だけでなく、登場人物たちが他人に作られた物語から抜け出し、自分の人生を選び直す物語そのものを表していたのではないだろうか。


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